旅立ちのとき。
フリーランスというのは自分でやるべき道を決め、営業し自分自身を売り込み、時には打ちひしがれ、時には喜び、少しずつ成長し、その度自分の仕事に対する理想も変化し、いっぱい働けばお金になり、仕事がなければ極貧という、とても厳しいけれどとても分りやすい仕事のしかたであります。
話は変わりますが、bpという雑誌があります。
そこにはちょうどぼくと同じような時期にフリーとして仕事を始め、今ではなんとかかんとかごはんを食べられるようになったライターの仲間たちがいます。
同じような境遇(貧乏!!)の時にも、なんだかよく分らないながらもこの雑誌はもっとこうすればよくなるのに!的な熱い議論を交わしあった、戦友とでも呼べる関係であります。
そんな戦友の一人のクラケンが実家に帰ることになりました。
それを聞いた時にはなんで今なんだろう?彼女と別れてテンパッてるんじゃないのか?などと邪推をしてしまいました。
そして今日は彼の2年にわたる一人暮らしの最後の夜。同じく戦友のライター仲間が声をかけ、クラケンの家でささやかな送別会をしました。
彼はお金を貯めるために実家に帰る。
そしてその金でニュージーランドにワーキングホリデーに行くんだ、と語ってくれました。
「なんで今更ワーホリなんか行くの?つまんねーよ!そんなのみんな行ってるじゃん!!」
「海外に行ったってなんもかわんねーよ!自分は自分だろ!!」
おれ終電あるからそろそろ帰ると自分で言い出したのに、なぜかそこからヒートアップした戦友のマスケンが叫びました。
「なんでそんなこと言うんですか!?ぼくが行きたいんだからイカしゃあいいじゃないですか!」
と、なんだか親子の会話のようだった。
外国に行ったって、日本にいたっていいこともあれば悪いこともあって、正解なんてないなんてことはマスケンだってぞんぶんに分っていると思う。
あるのはいくつもの選択と、その結果だけだってことも。
それでもマスケンがクラケンにあんなことを言ったのは、逃げの選択として海外を選んでほしくなかったんじゃないかと思う。
どこかに行くなら必ず何かをつかみ取ってやる!!と大きな声で言って欲しかったんじゃないだろうか。そしてその言葉を全力で応援したかったんじゃないかと思う。
ぼくの感想は全然見当違いなのかもしれないけど。
終電が無くなったとしても、熱い口調を少しも緩めずに、言葉をビシビシ突きつけるのは友達だからだと思う。
ここ数週間、週刊少年ジャンプのワンピースを熟読しているぼくは友達という字を「ダチ」と読みます。
クラケンはいろんなことに悩み、迷っているのではないかと思う。
ぼくは同じ年だしフリーランスだし、なんとなくそのきもちは分るような気がする。
何よりゴミためと化した風呂場が、彼の精神を反映していたように思う。
ぼくはあんまり関係ないなと思っていたのだけど、今はクラケンの新しい旅立ちを心から応援したいような気分になってしまった。
彼は実家に帰り、お金を貯め、ニュージーランドに行きます。
なにかを変えたいと思ったら、なんでもいいから行動するほかないのです。
がんばれクラケン!
実家っていっても品川なんだけど。
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